シングルスピードを誰よりも愛するPhil Wood。
Phil Woodはシングルスピード専用のMTBハブに加えBBが偏芯することでチェーンテンションを稼ぐ事のできるエキセントリックBBも各種生産しています。
このエキセントリックBBは専用のフレームにしか取り付けられないので一般的にはそれほど馴染みの無い規格であります。
しかしそこはシングルスピードを誰よりも愛するPhil Wood、世界中に普及しているねじ切りBSC BBシェル対応のエキセントリックBB”Philcentric Outboard BB”というBBを作っています。
ねじ切り対応というだけでも素晴らしいのに加えてこのPhilcentric Outboard BBはおそらく現在存在する唯一のSRAMやSHIMANOのスルーアクスルタイプクランク対応。
遊び心を忘れず、シンプルで最高に遊べるものを本気で作るという本当に彼ららしいパーツであるでしょう。
シングルスピードにしたければシングルスピード専用のバイクに乗ればいいのでは?となるのが普通だと思いますが
シングルスピード専用のフレームは少ないし乗りたいと思うジオメトリのバイクでなかったり。
やはり長年乗り込んだ愛車や思い入れのあるバイクをシングルスピード化できるというのが重要なんです。
好きな人にはたまらない最高のBBがこの”Philcentric Outboard BB”です。
チェーンのテンションを取れないドロップエンドの自転車をシングルスピード化するには下記の方法があります。
①:テンショナーを使う
②:ホイールを組み替えてエキセントリックハブを使う
③:エキセントリックBBを使ってBB側でテンションを取る
④:チェーンの長さをうまくバランスとってシングル化する
この4タイプが一般的に挙げられる方法だと思います。
それぞれの問題点や利点などですがまず④はほとんどお金が掛からないがギア比がほぼ選べない、チェーンテンションを稼げないのでチェーン落ちが多いなどトラブルが多いのでしっかりとシングルスピード化してライドを思いっきり楽しむ人にはまず向きません。
信頼性の高い方法は①~③ということになります。
①のテンショナーを使うという方法は一番簡単で比較的予算も抑えることができます。
が結局ディレイラー使っているのと変わらないのでチェーンが跳ねシングルスピード独特の漕ぎのダイレクト感がまったく無く、コンディションなどによってはテンショナーがもげる可能性もゼロではないという欠点があります。
そして何より余計なものがフレームに付くので見た目的にもあまり美しくありません。
②は多くの人が選ばれる一般的な方法と思われます。
ハブが偏芯することでチェーンテンションを稼ぐのでハブの変更、つまりホイールの組み換えが必要ということになります。
シングルスピードらしい漕ぎのダイレクト感もありWhite Industriesなどのハブは信頼性も高くトラブルほとんどありません。
ただ手持ちのホイールをうまく使ったりすることができなかったり、ハブでテンション取るのでギア比の変更の際は必ずブレーキの調整が必要となります。リムブレーキならばまだしも油圧ディスクブレーキだと少し手間に思う人も多いと思います。
③のエキセントリックBBの場合はギアードのリアホイールを活かせる、チェーンも跳ねずダイレクト感がある、そしてブレーキの調整も必要としない、シングルスピードバイクらしい無駄の無いシルエットになる。と他に比べ圧倒的に優れています。
が、このエキセントリックBBに対応しているフレームが殆ど無いというのが一番の欠点でありました。
今回紹介しているPhil Woodの”Philcentric Outboard BB”ですが一般的なねじ切りBBのバイクに使用が可能。
つまりエキセントリックBBの一番の欠点を見事に解消しているということです。
Phil Woodの”Philcentric Outboard BB”の機構について説明していきましょう。
従来のエキセントリックBBはBBシェル下にネジがありそれで前後に偏芯するBBシェルを止めるというのが一般的でした。
それだと踏み込みの際にずれてテンションが緩んだりチェーンが外れるというトラブルがありました。
この点もPhil Woodはうまくつぶしています。
アウトシェル内部にはスプラインが切ってあり負荷がかかってもずれこまないように考えられています。
そこに爪の付いたベアリング部をはめて外側からクランクアームを閉めこみます。
そのためどんなに負荷がかかってもクランクのアクスルシャフトが折れない限り絶対にこのスプラインからずれる事はありません。
シェルは最高強度を誇るステンレススティール製。
その強靭なボディはMTBやシクロクロスバイクでダートを走り倒しても、固定ギアで乗ってもまったく問題ありません。
良い事ばかり書いていますがちゃんとデメリットや難しいポイントもあります。
まずは特殊なシェルなので取り付けにPhil Woodの専用工具が必要であるということ。
(この専用工具はプロショップ様のみへの販売となります)
そしてシェル内部にスプラインが切ってあるため左右のシェルのスプラインが完全に左右対称でなければいけないということ。
これは専用工具に付属しているシンメトリーゲージをというもの使って調整を行います。
デメリットはBB側で偏芯するので位置によってBB下がりが若干変わる、クランク位置が前に出てしまうということ。
この辺はチェーンの長さをうまくやれば違和感は感じませんが気にする人は気にしてしまうと思います。
スプラインなので無段階のものよりも細かくチェーンテンションを取ることができません。
(スプラインの爪が細かいので実際に使ってみたところ特に気になる点では無かったです。)
フルサスペンションMTBの場合はBB同軸ピボットのタイプ以外では装着が不可。
ギア比を変えるにはクランクを外さなければならず、チェーンも変える必要があるというのが一番面倒なポイントでしょうか。
またステンレス製の大きなボディなので通常のOBBよりも言うまでも無く重いです。
これらの点を差し引いてもこの”Philcentric Outboard BB”はシングルスピード愛好家のハートを鷲掴みする夢のBBであると言えるのではないでしょうか?
ステンレス製のボディでPhil Woodならではの絶対に壊れない強靭な作り、そして気持ちのよく回るベアリング、
それでいてねじ切りBBのバイクならばロードバイクでもシクロクロスバイクでもMTBでもこのBBにさえ変えればシングルスピード化できる。
最高に遊べるバイクのためのBBがこの”Philcentric Outboard BB”です。
お問い合わせはOPEN DISTRIBUTIONの各ディーラー またはinfo@weareopen.jpまで。